上原ひろみの英語感が胸に染みた

僕は上原ひろみの生き様が好きだ。もう10年以上彼女のピアノを聴き続けている。彼女のピアニストの腕前は世界中の誰もが認めている。もちろん素晴らしい演奏を聴かせてくれるが、僕は何より彼女の精神性にとても惹かれている。彼女を知ったのは、ドキュメンタリー番組の「情熱大陸」だった。そこでの彼女の言葉が胸に突き刺さり、10年以上も前に放映されたのに、未だにはっきり覚えている。

「ピアノが上手く弾けない、と嘆く人がいるがそんなものは悩みでもなんでもない。世界に地雷が埋められたりして苦しんでいる子供も沢山いる。それに比べたらピアノが弾けないなんて大したことではない。弾けないならできるまでやれって感じです」

この言葉が象徴するように、彼女の演奏はストイックだ。レコーディングは失神寸前まで、ピアノを弾き続けて、最高の演奏をするまで限界までレコーディングするとのこと。

彼女には昔ながらの侍スピリットを感じる。その彼女は、今やグラミー賞を受賞しワールドツワーで世界を股にかけるピアニストになっている。

そんな彼女の英語についてのインタビュー記事を読んだ。彼女も英会話ができるまでに、大変な苦労をしたんだなと感じる。僕も日々英語を学ぶ身として痛々しいほど共感できた。

象徴的だったのが、彼女がニューヨークに住んでいる時に、アメリカ人をライオンだと感じたこと。日本人は草食動物だから、自分もライオンにならなければ、この街に呑み込まれてしまうと感じたみたいだ。僕もロスに行ったことがあるのでよく分かる。戦後の教育の影響もあり、日本人は西洋人に対して、気負いというか劣等感を感じている。

ましてや、日本人は英語が苦手だ。相手は体格も一回り上で、ボディランゲージを多用して大声で話す。日本人がアメリカに行くと思いっきりアウェー感を感じる。そんな中で彼女は、自分の実力だけで彼らを認めさせたのだから凄い。

日本人が世界で認められた大きな要因はやはり技術力だ。焼け野原になり、資源も何もない国で唯一失わなかったのが、大和魂だ。日本人の持つ潜在能力が革新的な製品を沢山生み出し、世界中に認められた。しかしこと音楽に関しては、日本人であるメリットはない。

特にジャズは西洋音楽だ。だから、彼女がジャズの本場であるニューヨークで認められるには、半端じゃない覚悟と努力が必要だったはずだ。日本でいうならば、外国人が美空ひばりのように歌い上がるくらい凄いことだと思う。それを彼女はやってのけたのだ。

彼女の英語学習法は日本に住む日本人にも十分に役立つなと感じた。共通の趣味の英語圏の友達を持つ、下手だと感じても堂々と話す、何より片言でも伝えたいと思う気持ちが大切だと語っている。

そもそも欧米諸国で第二言語を話せる人間なんてほとんどいない。私達は世界でも難易度の高い日本語を使いこなして、さらに英語まで覚えようとしているだけで、かなり高いリテラシー能力を持っている。日本語に比べたら英語は簡単な言語だ。だから臆することなく、堂々と英語を話すようにしたい。